2010年06月09日

故郷だより 22

前略 木の実さま

我が北相木村は新緑の季節を迎えています。
今年は寒さが長引き、あたたかくなるのを見計らったように
一斉に桜・モモ・雪柳・・・・などの花が咲き始めました。
こういう年は花の咲く日にちは短く、3~4日で散り始めてしまいましたね。





遅霜にもやられ、花だけではなく農産物にも影響を及ぼしています。





「お天道様には勝てねえな・・・」
いつもながら、農民の言葉は真実を言い当てて重たいです。
「山と共に、土と共に」日常を暮らしてきている「田舎人」には
どこかの国のお偉いさん達の「エコなんとか」なんて机上の空論でしかないと思うのでは。
子供達の農林業体験は大変有意義なことですが、もっと有意義で必要なことは
そのお偉いさん達がたとへ半年でもいいから農林業体験を積み
国の根幹を身体に植えつけ、苦労を感じてほしいものですね。
また「頑固オヤジの言いたい放題」を書いてしまいました。

東京に暮らしていると、君が子供の時期に体験した素晴らしい出来事を
忘れてしまうことが「おとう」は残念に思うんだ。
君だけではなく地方から東京へ向かった若者達の中に大切に養われた「田舎暮らし」が
東京という「マトリックス」の中では活かされず、失われてゆく・・・・・実にもったいない。
この国の将来が心配ですね。

物を作ることは「積み重ねる」・・・これの繰り返しなんだよ。
コンビニやファストフードで簡単で便利に手にいれられる物達。
都会(日本)ではごく普通な日常だけれども、実はほんのごく一部の人間だけの特権なんだ。
一握りの米もコップ一杯の水さえも満足に手に入らない人達が世界には沢山いることを知って欲しい。
つい半世紀前の我が国だって毎日の食べるものや生活に困窮していた時代があったんだ。


それらを乗り越えてきたのが「こつこつと、積み重ねる」物作りだったり、農業だったんだ。
しかし、この五十年で日本人は「便利で合理的な生活」を求める為に、
この「こつこつと・・・・」の精神を忘れてきてしまった。
その結果が今の「迷える日本」だ。





木の実よ、君は18年間、我が村で育ち、毎日の生活のなかで地域の人達が送る日々の暮らし方を
見てきたはずだ。
雪解けと共に山や畑に入り、これから始まる一年間のために丁重に自然への手入れを怠らない。
野山が春のやわらかさを感じ始める頃、畑には苗が植えられる。毎日「こつこつ」とね。

「田舎人」は自然には逆らわないことを身をもって体験し、自然と共に暮らす術を学び得とくしている。
これらも「こつこつと・・・」が心構えだ。
決して忘れてはいけないよ「積み重ねる大切さ」
決して流されてはならないよ「こつこつと、生きる術」





我が村は今日も晴れ渡り、畑には丈夫に育ってきた作物が元気に天を仰いでいる。
これからが忙しい時期に入る。しかし、「田舎人」は急がない、
日々「こつこつ」を積み重ね自然の都合に全てを任せる。

「おとう」もこの境地に仲間入りできるように日々精進しているが・・・・・多いに反省もあるけどね。

春というか初夏の昼下がりには「ビル・エバンス」がいい。
眩しい緑の中をピアノが染みとおる。



                                     父拝


峰尾勝巳
家具工房「夢屋」主宰 




  


Posted by アイナガノ at 15:26Comments(0)北相木村